自然のいとなみは、悠久の時間の積み重ねの証明です。
一度と同じ現象のない「天気」も、また自然のいとなみのひとつです。
悠久のいとなみの中から、先人達が、そして今も時間と英知をかけて、天気に対するいくつかの規則を見いだそうとしています。
そんな「天気」についてお話をします。
 
by Nobuyuki Chiba

 

第一回 天気について
 天気は、私たちの日常生活を左右します。例えば旅行するとき雨より晴れの方が楽しいたびが出来ます。そこで簡単な天気の知識があると大変助かります。
最近の天気予報は、気象衛星(ひまわり)やアメダス、気象レーダーなどから把握し、私たちはテレビ等でかなり高い確率で情報を得ることが出来ます。それでも専門化が予測しても確立は100パーセントではないと言われます。
なおさら知識がない私たちにとっては、天気について予測することは難しく大変です。また天気を予測するには、天気図を書くことができそして天気図を見る知識が必要です。その前提として気圧、風 前線、等圧線等いろいろ学ばなければなりません。そこで、ここでは何故という理屈を省き、基本的な事柄を簡単に述べます。
日本は海に囲まれ季節の変化に富んでおります。天気は地域、地形、そして季節風等によっても異なります。

ではまた次回へ。
 
第二回 天気は西から東へ  
 天気は西から東へと推移するのが普通で、そして一般的には高気圧圏内では良い天気ですが、低気圧圏内では天気は悪いと言われます。第一回で述べましたが理屈は省略し、また例外もあることも承知してください。そのため普通とか一般的という表現にしました。
新聞等の天気図をみて日本列島が高気圧におおわれている時天気は良く、また高気圧が張り出してくると予想される時天気が良くなります。反対に低気圧が発生している時は天気は良くありませんし、低気圧が接近すると天気はだんだ悪くなります。例えば、低気圧が発生していても西の方から高気圧が張り出してきますと、天気は西から東へ推移しますので天気は回復します。

ではまた次回へ。
 
  第三回 低気圧と雲と等圧線
 低気圧は雲を作りますので、低気圧が発生しますと天気が悪いですし、また天気を悪くします。雲が雨や雪を降らせる基です。雲は水滴の集まりですから、地上へは雨や雪となって落下します。
次に低気圧と等圧線の関係です。天気図を見て低気圧が発生しており、その等圧線の間隔が狭いときは風が強く吹きますが、等圧線の間隔が広いときは風が弱く吹きます。

ではまた次回へ。
 
  第四回 風と天気
 風が天気を運んでくると言われます。風は空気の流れで天気を変化させる要因です。風は方向や地形によっても異なりますが,おおざっぱに風が吹きますと今までとは違った性質の空気が流れ込んできます。
風は冷たい空気や湿った空気を運んできて天気を変化させます。例えば晴れて暖かい空気のところへ、冷たい空気が流れ込んでくると、気温は下がり天気が変わります。そのため冬には北または北西の冷たい風が吹き、日本海側に雪を降らせます。

ではまた次回へ。

 
  第五回 気圧の谷と前線

 天気予報でよく次の言葉を耳にします。気圧の谷とか前線です。気圧の谷とは二つの高気圧にはさまれた気圧の低いところです。気圧の谷から低気圧と前線が発生します。
前線は分かりにくいと思いますが、空気のかたまり(気団)の暖かい空気と冷たい空気の間に出る境界面で、前線を境いにして気温、湿度、風速、天気が変化します。一般的に気圧の谷が近づいてくると天気が悪くなりますし、前線通過時にも天気が悪くなります。前線には温暖前線、寒冷前線、閉塞前線、停滞前線があります。

ではまた次回へ。

 
  第六回 梅雨

 梅雨とは北海道を除く日本一帯に、毎年六月から七月にかけて続く曇りや長雨のことです。春から夏への変わり目とも言えます。私たちは梅雨に入ることを入梅などと表現します。
梅雨をもたらす原因は停滞前線で梅雨前線とも言います。前線が長く居座りあまり移動しないので、曇って雨が多い天気になります。また濃霧が発生したり突風が吹いたり豪雨になったりもします。地域によって天気のぐずつきが違います。梅雨も終わり頃になりますと、前線は北上し梅雨明けとなります。

ではまた次回へ。

 
  第七回 台風

 最大風速17メートル以上のものを台風と呼びます。強い風や強いにわか雨を伴い大きな被害をもたらすこともあります。台風発生の原因ははっきり解明されていませんが、赤道より少し北の熱帯収束帯の地域、具体的にフィリピンの横側南シナ海で発生します。
台風は、東風に乗って西へと進み西側を回るように北へそして日本に近づいたり上陸します。台風は年間30個前後発生しそのうちのいくつかが日本へ上陸します。最近、台風の予測が気象レーダーや気象衛星により予報円で示され、進路予想・警戒地域の情報が私たちにいち早く提供され十分な注意ができます。

ではまた次回へ。

 
  第八回 夏の天気

 梅雨が明け、太平洋高気圧が日本全体をおおうようになりますと夏がやってきます。小笠原諸島付近を中心に高温で多湿の空気のかたまり気団が、南の海上から日本列島をおおうので日本では小笠原高気圧とも呼ばれます。蒸し暑い夏の気候をもたらします。
等圧線の間隔が広いので風が弱く気温が上がります。 気圧は南高北低で、高気圧が南の海上にあるときは夏空が安定しますが、北方から低気圧がやってきたりしますと、天気が不安定になり強いにわか雨や雷雨になる場合があります。

ではまた次回へ。

 
  第九回 湿度について

 湿度とは大気中に含まれる水蒸気の量すなわち空気中の水分の割合を言います。気温が高いと空気中におおくの水分が集まり湿度が高くなります。反対に気温が低いと空気が乾燥し湿度が低くなります。夏は気温が高いので湿度が高くより暑く感じ、冬は気温が低いので湿度が低く寒く感じます。梅雨の時期に蒸し暑く感じるのは、空気中の水分が多く湿度が高いからです。
日常の知恵として、夏には部屋が暑いので除湿すると暑さが和らぎますし、冬には部屋が寒いので空気の乾燥を防ぐためスチーム等、加湿すると寒さを少しおさえることができます。

ではまた次回へ。 

 
  第十回 冬型の気圧配置

 天気予報で冬型の気圧配置という言葉を耳にします。これは日本列島の西側に高気圧があり、東側の太平洋上に低気圧がある状態のことで、西高東低の気圧配置であることを意味します。また等圧線が南北に並ぶのが冬型の気圧配置の特徴です。冷たい北西の季節風が吹き等圧線の間隔が狭いと風も強く吹きます。
天気は、太平洋側が乾燥した冬晴れになることが多く、北日本や日本海側が雪が雨になります。北海道でも雪が降りやすくなります。上空の寒気の強さよっては豪雪になります。またシベリア気団(大陸性寒気気団)がやってきますと寒波が到来します。

ではまた次回へ。

 
  第十一回 春一番

 春一番とは冬から春に移り変わる時季に、初めて吹く強い南風を言います。例年二月から三月半ばの間に吹きます。春一番により日本海で低気圧が発達し南寄りの強風が吹くので気温が上昇します。
しかし春一番が吹いた日は気温が上がりますが、翌日は西高東低の冬型の気圧配置になり天気が悪く寒さが戻ることが多いです。春一番が吹き雪崩れなどの気象災害や竜巻が発生し車両が橋の上で脱線・転覆しおおきな被害をもたらすこともあります。
語源は春に初めて吹く強風を「春一」や「春一番」と呼ぶようになったためと言われています。

ではまた次回へ。

 
  第十二回 桜前線
 桜前線とは日本各地の桜が開花する日を結んだ線です。季節の進行を例年三月下旬から五月上旬にかけて南から北(九州から北海道)へと順次移行するのを描いた線です。すなわち桜の開花予想日と言えます。
開花予想日は数回行なわれ初めは三月上旬頃に発表されます。桜は芽が夏に作られそして秋・冬の低温を経て春の気温の上昇とともに成長し開花します。よって暖かい地方から開花していきます。
また開花具合によって咲き始め、三分咲き、五分咲き、七分咲き、満開、散り始めなどと表現されます。
ではまた次回へ。